コラムCOLUMN
永久歯のスペース不足を拡大にて改善した症例(小児)
詳細
年齢:8歳
主訴:歯並びを改善したい
前歯部に永久歯の叢生(がたがた)がみられる。若年者であることから便宜抜歯によるスペース獲得ではなく、歯列の拡大により永久歯の萌出スペースの不足を補うことで叢生の改善を試みた。
Ⅰ期治療として上顎には急速拡大装置、下顎にはバイヘリックスを用いることで狭窄歯列の拡大を行い、前歯部のスペース不足の改善を行った後に、マルチブラケットを併用することで歯列の配列を行った。前歯部の配列終了後舌側に保定ワイヤーで歯牙の固定を図り治療終了となった。
Ⅰ期治療の場合、治療終了時点では側方歯群に乳歯が残存しているため、永久歯の交換を待ち正常歯列となるか経過観察を行う。
Ⅰ期矯正治療費:275,000円(2023年1月時点)
調整費:月5,500円
治療期間:1年3ヶ月
デメリット・リスク:
矯正治療は基本的に自費治療となる
装置の装着と歯の移動に伴い、痛みを生じることがある
症例によってはやむを得ず抜歯をすることがある
歯の移動に伴い歯根吸収や歯肉退縮が生じることがある
永久歯の交換に伴いⅡ期治療が必要になる場合がある
小児のⅠ期矯正について
小児の場合、歯列の拡大により抜歯を伴う矯正治療を回避できる可能性があります。上下の前歯部が萌出してくる小学校低学年では歯列の拡大が可能な場合があり、叢生改善のために早期の治療介入を行うことがあります。側方歯群(3〜5番目の歯)の永久歯の交換に近づいてしまうと拡大する期間が伸びてしまい治療期間の延長が生じるため、治療の介入時期を適切に考える必要があります。また、永久歯列の完成後に2回目の治療が必要になることがあります。
また、歯の大きさや顎の大きさによっては拡大しても抜歯を避けられないケースもあります。気になることがあれば当院へご相談ください。