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親知らずって抜いた方が良いの?
今回は親知らずについてのお話です。
親知らずとは奥歯のさらに奥に生えてくる8番目の歯のことを言います。
永久歯は6歳前後から生え始めますが、親知らずは20歳前後で生え始めます。
現代の日本人は顎が小さいことが多く、親知らずが生えきらず顎に埋まってしまうこともあり色々なトラブルを招くことがあります。
患者さんから「以前にきれいに生えているから抜かなくていい言われた」というような話を聞くことがよくあります。
果たしてそうなのでしょうか。
現代人の顎は狭く、親知らずが並ぶのに必要なスペースを有する方はほとんどいません。
そのため、親知らずが原因でいろいろなトラブルとなってしまう例がみられます。
そこでトラブルとして多い、①手前の歯が痛くなる ②手前の歯が虫歯になる ③手前の歯が歯周病になる ④歯並びが悪くなる ⑤正常な顎運動の妨げになる 等を例に説明していきます。
①手前の歯が痛くなる
親知らずが生える空間がない場合通常このように斜めになります。
斜めになることで手前の歯を押すような形となり手前の歯も斜めになり、かみ合わせが知らず知らずのうちに悪くなってしまいます。
そのため手前の歯が押されることで歯に鈍い痛みが生じるのです。
歯が生えようとする20歳前後で生じやすい症状になります。
その後のトラブルが生じる前に抜歯しておいたほうがいいでしょう。
②手前の歯が虫歯になる
斜めになった親知らずと手前の歯との間は歯磨きをすることが難しく、虫歯になってしまうことがよくあります。
虫歯になった場合、親知らずを抜歯してから虫歯の治療をすることとなります。
この場合虫歯を削り取り詰め物をすることで治療完了です。
ただしこの部分の虫歯治療は非常に大変で予後もあまり良くありません。
また、治療手段もかなり限られてきます。
大きな虫歯にってしまった場合は歯の中の神経まで取り除く必要が生じてしまいます。
親知らずがなければ手前の歯の神経は残せたかもしれないので、この状態になるまでに抜歯をするべきでしょう。
③手前の歯が歯周病になる
親知らずと手前の歯の隙間から歯周病菌が感染を起こすとその部分の骨が溶けてなくなることもよく起こります。
通常痛みなどの症状が出ることは少ないですが、痛みが出たときは手前の歯も巻き込んで2本抜歯となる場合があります。
手前の歯を支える骨が半分以上なくなっています。
手前の歯の骨はほとんどがなくなっています。親知らずだけではなく手前の歯も抜かないといけない状態です。
④歯並びが悪くなる
親知らずが斜めになっていると手目の歯がどんどん前に押されていくことになります。
そのためどんどん歯が押されていき歯並びが悪くなることがあります。
悪くなってしまった歯並びは親知らずを抜歯しても下には戻らないため悪化する前に抜歯をするしかありません。
親知らずの影響で奥歯はどんどん前に、元々ずれているような歯はさらにずれていきます。
影響がひどくなる前に親知らずは抜いておいた方がいいでしょう。
⑤正常な顎運動の妨げになる
上下どちらか一方の親知らずが残っていて、その親知らずが下顎にのみ生えている方によく生じる状態です。
上下片側だけ親知らずが残っている場合、残っている親知らずが挺出し、高さが一つ前の歯よりも高くなります。
その状態で生活をしていると咬合干渉部位となり、正常な顎運動の妨げとなり、顎関節症になったり、食いしばりなどのブラキシズムを起こしてしまう、干渉している歯がだめになってしまうことがあります。
これも知らず知らずのうちに起こる親知らずの悪影響の一つになります。
親知らずは狭い部分に生えようとするため、様々なトラブルを引き起こすことがあります。
痛みが出たり、虫歯になってからだと治療しても予後が悪く再治療になることが多いため歯がどんどんなくなってしまいます。
ただし、親知らずの中でも普通の歯と同じように生えていて、歯ブラシの届く範囲できれいに噛み合っている歯は保存することも可能な場合があります。
また条件が揃えばですが、使えなくなった奥歯の代わりに親知らずを移植して使用することも可能です。
親知らずを抜くかどうかについてはご自身の判断では難しく、トラブルが生じてしまった際にも後々他の歯への影響が出てしまうこともあるので、一度歯科医院の方で判断してもらうといいでしょう。
気のなることがあれば当院へお越しください。